バッハの引力に魂を引かれた人々の私兵

今回2012年6月の練習会ではようやく憧れのバッハ「フランス組曲」を弾くことができました。でも6番のジグ、2ライン(二声)ですけどね。ピアノ再開は2004年なんで実に6年越しで希望が叶ったということですね。長く続けてみるものです。

以下はLOVELOG版Messier Catalogue 27の2008年08月24日の記事の再投稿です。


バッハの引力に魂を引かれた人々の私兵(2008年08月24日)


「次、何弾きます?」
「バッハの『フランス組曲』が弾いてみたいです…」

実は旦那さんは2004年秋にイチローを目指してピアノを再開(*1)、まず自力で取り込んだのが、小学校の頃の発表会で中学生のおねえさんが弾いていた憧れの「フランス組曲」でした。しかし楽譜をさらって弾けるには弾けても「うぁぁあ、古典独特のグルーヴ感がでないー。」と迷走。それでお金を払って習うことにしたという経緯があります。それ以降レッスンの中でバッハの練習曲にも取り組みました。

で、今回、自分の中では満を持してお願いしてみたようなのですが、先生は一言「三声をきちんとやってからでないとダメ。」

バッハには練習曲として次のものが有名です。
「インベンション」:
左手1右手1の計2ライン(二声)の独立したメロディラインを弾く。
小学生の頃にお世話になる。
「シンフォニア」:
左手1右手1、プラスお留守になっている指を駆使してもう1つ、
計3ライン(三声)を弾く。
「平均律」:
さらに高度なマルチラインを弾く。音大目指す人向け。


ラインとリズム


先生の話によると、特に大人からピアノを始めた人にとっては、伴奏ではない左手の働きというのが驚きらしく、初めて出会うバッハは大変なんだそうです。すでに学生時代にバッハを経験した旦那さんについても、大人になってからの「インベンション」はなんだか辛そう…という先生の見立てで、さらにシビアな「シンフォニア」は手付かずになっています。旦那さんの昔とった杵柄は子供特有の運動神経だったってことですね…。

先に「グルーヴ感」と書きましたが、クラシックにはビートがないのになぜ?と思っていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。確かにピアノ曲にビートは付いていないのですが、体の中にノリというのか、リズムを持っていないとものすごく野暮天になってしまうんです。「ワルツ」「ロンド」「メヌエット」なんてタイトルのつく踊りの音楽は特に! 

「フランス組曲」は舞曲集なので、特にそういった感覚が大切になります。ここにマルチラインを乗せていく場合、基礎ができていないとリズムもラインも諸共に空中分解するということを容易にご想像できるのではないでしょうか。2004年秋の旦那さんの「フランス組曲」は離陸するも、空中分解して大破、今もまだ機体は整備中で離陸できないということになります。


ブラームスをお願いしてみるも


結局バッハは諦めて、次に先生にお願いしてみたのが、憧れのブラームス。ピアノ曲がねぇ、派手さはないのですがキラッとしていて通好み。端正で、渋いんですよねー。文章で言うと幸田露伴の歴史物みたいな感じ。前々回の発表会で「六つの小品」の中の「バラード」を他の方が弾いているのを聴いて、「ぜひ自分も!」と思って思い切って切り出したようです。こちらについては「では『六つの小品』の中から曲をひとまず選んできて下さい。」とOKを頂きました。

ところが旦那さんは『六つの小品』の中でも3番目のバラードではなく、2番目のインテルメッツォ(間奏曲)が気に入った様子。そちらのほうを練習してレッスンに臨みました。すると先生「…この曲、ちょっと厳しいと思いますよ。譜読み自体は問題ないでしょうけど、仕上げでそれぞれのラインを独立させた上で絡ませていくのが。こーんなニュアンスね。」 早速と弾かれる。確かに「こーんな」感じとはたくさんの紅葉した葉が弧を描きながら落ちていくようです。あぁ、美しいったら!

ここで素直に引き下がるのもノーコンセプト、ノープライド、ノーテンキのように思われますので、「どんな努力をすれば、この曲が弾けるようになりますか?」と質問してみました。先生は考えながらいろいろ答えてくださったのですが、決定的なのがこちら。

「ブラームスは古典をよく研究していた学究肌な人でもあるわけです。それが曲に反映されています。」 旦那さんがいつも自分の葬式(?)に流してくれと言っているブラームス作「ハイドンの主題による変奏曲」とか、古い作曲技法が使われているのは私も知ってますよ!「だから、バッハとかきちんとやらないとね。」

バッハ! むぅぅぅ。
またしても離陸できず。地球の引力はバッハ、お前か。

「うぁぁぁ、ニュータイプになりたいーーー。」

以上、旦那さんの魂の叫びでした。ちょっと用法違うと思いますが…。(*2)


<参考>
*1:イチロー目指してピアノ再開(当Blog)
*2:「地球の引力に魂を引かれた人々の私兵なのだよ。」  (Zガンダム登場人物名言集 HP)

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