お山の中でこんぴらふねふね
「こんぴらふねふね、追手に帆かけてシュラシュシュ～♪」
「こんぴらふねふね、お池に…はまってさー大変～♪」
「ちがーうッ！ なぜ途中から『どんぐりコロコロ』になる。」
「おいけに…、ああ、わからん！」
「おいてに帆かけてシュラシュシュ～♪じゃあ。」（*1）
と旦那さん指導による夫じゅんさんの歌唱指導が山梨県山中で行われました。場所は山梨県甲州市塩山にある裂石山雲峰寺です（*2）。
なぜ山梨の山奥で讃岐の神様こんぴらさんの歌を歌わないといけないのか。こんぴらさんとは、金刀比羅宮の愛称で、ご祭神は大物主神と崇徳天皇。崇徳天皇と言えば、今NHK大河ドラマ「平清盛」で井浦新さん演じた天皇で、「保元の乱」を引き起こして讃岐の国に流罪になられましたよね。この地でこんぴらさんをよく参詣されたんだそうです。そのご縁で崩御後にお祀りされることになったんだとか。ご利益はいろいろあれど、海上交通の要所という場所柄、一番重要なのは海の神様としての地位なのではと思うのですが…（*3）。
そうなんです。雲峰寺の裏手、242段の階段を登ったところにこんぴらさんが祀られているのです！ このお寺の創立は明らかではないそうですが、745年に行基が開創したと伝説の残る古刹で、甲斐源氏の武運長久の祈願時として武田氏から深く崇敬されたそうです。金刀比羅宮自体は1519年、武田の屋形を今の甲府市の躑躅ヶ崎へ移築の際、鬼門除け東観音と共に当国鎮護として軍中の守護神を当山に勧請したのが由来だそうです。武田信玄親子もここで戦勝祈祷したそうですよ。
ではなぜ海のない甲斐の国を治める武田氏が、讃岐の金刀比羅宮を勧請したのか、当時から武運の神様で戦国大名に名をとどろかせていたのか？ 調べてみたのですが、Webではよくわかりませんでした。翌日私たちが向かうことになる茅野市の上原城跡（武田氏の諏訪地方統治と信濃攻略の基地、武田氏統治時代は板垣信方が城主だった）にも、金比羅神社が勧請されているのですから、よほど武田氏からの信仰が篤かったのですね。
想像するに、甲斐武田氏の祖は、後世の当主からは河内源氏の棟梁・源頼義の三男源義光とされていることから（*4）、出身は大阪の河内。海沿いのエリアではないにしても先祖は金比羅さんの信仰が繋がっているのではないかと想像しますが、いかがでしょうか。もしご存知の方がいたら教えてください。
雲峰寺の宝物殿には、後令泉天皇から清和源氏源頼義（先述）へ下賜された日本最古の「日の丸の御旗」をはじめ、武田の軍旗「孫子の旗」（「疾如風徐如林侵掠如火不動如山」と書かれている、俗に言う「風林火山」の旗）、「諏訪神号旗」（「諏方南宮上下大明神」と書かれている）、「馬印旗」といったこれら武田家の重宝があります。
この度は武田信玄ファンのじゅんさんに連れられて、山深いお寺に足を運んだのですが、朝10:30に雲峰寺に到着したところ、宝物殿は「現在休館中です」という札を掛けたまま閉館しており、どうやらお寺も無人の様子。じゅんさんはがっかりして、そのまま帰ろうとしていたのです。
「宝物殿はだめでも、裏手にこんぴらさんがある！」
旦那さんはじゅんさんを鼓舞し、「こんぴらふねふね」の歌いながら、しんどい石段242段登り、なんとかお参りをいたしました。残念だった気持ちもなんとか落ち着いて、駐車場に向かいますと、駐車場側のお土産屋さんに出勤してきたばかりのおばあちゃんがわざわざ声をかけてくれたではありませんか。
「宝物殿行くんでしたら、鍵開けますよ。」
「（ﾟ∀ﾟ）／／＼＼（ﾟ∀ﾟ）やったー！」
このこんぴらさんへの立ち寄りがなかったら、おばあちゃんにも会えずにそのまま車に乗って帰っているところだったのです。私たちは無事宝物殿で「孫子の旗」、「諏訪神号旗」２組、それから「馬印旗」、日本最古の「日の丸の御旗」を見ることができました。「孫子の旗」「諏訪神号旗」は現存するもので9組中6組、その内2組がここにあります。この後向かった、甲州市の恵林寺（*5）の信玄公宝物館、甲府市の武田神社（*6）の宝物殿に1組ずつ見ることができました。
そして無事旗を見れた後、お土産屋のおばあちゃんは桃を一つお土産にくださいました。
「おばあちゃんがこんぴらさんかもしれないよ。」
私もそんな気がしています。旅行ってこんな偶然があるから面白いですよね。
＜参考＞
*1：金毘羅船々（こんぴらふねふね） 歌詞（うたのMIDI）
金毘羅船々（Youtube）
*2：裂石山雲峰寺（公式HP）
*3：崇徳天皇（NHK「平清盛」HP）
金刀比羅宮と崇徳天皇（金刀比羅宮 公式HP）
*4：武田氏（Wiki）
*5：恵林寺（公式HP）
*6：武田神社（公式HP）
＜紹介＞
Youいっちゃいなよ。
「こんぴらふねふね、お池に…はまってさー大変～♪」
「ちがーうッ！ なぜ途中から『どんぐりコロコロ』になる。」
「おいけに…、ああ、わからん！」
「おいてに帆かけてシュラシュシュ～♪じゃあ。」（*1）
と旦那さん指導による夫じゅんさんの歌唱指導が山梨県山中で行われました。場所は山梨県甲州市塩山にある裂石山雲峰寺です（*2）。
なぜ山梨の山奥で讃岐の神様こんぴらさんの歌を歌わないといけないのか。こんぴらさんとは、金刀比羅宮の愛称で、ご祭神は大物主神と崇徳天皇。崇徳天皇と言えば、今NHK大河ドラマ「平清盛」で井浦新さん演じた天皇で、「保元の乱」を引き起こして讃岐の国に流罪になられましたよね。この地でこんぴらさんをよく参詣されたんだそうです。そのご縁で崩御後にお祀りされることになったんだとか。ご利益はいろいろあれど、海上交通の要所という場所柄、一番重要なのは海の神様としての地位なのではと思うのですが…（*3）。
■こんぴらさんが山の中にいる！
「だってここにこんぴらさんがいるから！」そうなんです。雲峰寺の裏手、242段の階段を登ったところにこんぴらさんが祀られているのです！ このお寺の創立は明らかではないそうですが、745年に行基が開創したと伝説の残る古刹で、甲斐源氏の武運長久の祈願時として武田氏から深く崇敬されたそうです。金刀比羅宮自体は1519年、武田の屋形を今の甲府市の躑躅ヶ崎へ移築の際、鬼門除け東観音と共に当国鎮護として軍中の守護神を当山に勧請したのが由来だそうです。武田信玄親子もここで戦勝祈祷したそうですよ。
ではなぜ海のない甲斐の国を治める武田氏が、讃岐の金刀比羅宮を勧請したのか、当時から武運の神様で戦国大名に名をとどろかせていたのか？ 調べてみたのですが、Webではよくわかりませんでした。翌日私たちが向かうことになる茅野市の上原城跡（武田氏の諏訪地方統治と信濃攻略の基地、武田氏統治時代は板垣信方が城主だった）にも、金比羅神社が勧請されているのですから、よほど武田氏からの信仰が篤かったのですね。
想像するに、甲斐武田氏の祖は、後世の当主からは河内源氏の棟梁・源頼義の三男源義光とされていることから（*4）、出身は大阪の河内。海沿いのエリアではないにしても先祖は金比羅さんの信仰が繋がっているのではないかと想像しますが、いかがでしょうか。もしご存知の方がいたら教えてください。
■こんぴらさんのご利益が！
雲峰寺の宝物殿には、後令泉天皇から清和源氏源頼義（先述）へ下賜された日本最古の「日の丸の御旗」をはじめ、武田の軍旗「孫子の旗」（「疾如風徐如林侵掠如火不動如山」と書かれている、俗に言う「風林火山」の旗）、「諏訪神号旗」（「諏方南宮上下大明神」と書かれている）、「馬印旗」といったこれら武田家の重宝があります。この度は武田信玄ファンのじゅんさんに連れられて、山深いお寺に足を運んだのですが、朝10:30に雲峰寺に到着したところ、宝物殿は「現在休館中です」という札を掛けたまま閉館しており、どうやらお寺も無人の様子。じゅんさんはがっかりして、そのまま帰ろうとしていたのです。
「宝物殿はだめでも、裏手にこんぴらさんがある！」
旦那さんはじゅんさんを鼓舞し、「こんぴらふねふね」の歌いながら、しんどい石段242段登り、なんとかお参りをいたしました。残念だった気持ちもなんとか落ち着いて、駐車場に向かいますと、駐車場側のお土産屋さんに出勤してきたばかりのおばあちゃんがわざわざ声をかけてくれたではありませんか。「宝物殿行くんでしたら、鍵開けますよ。」
「（ﾟ∀ﾟ）／／＼＼（ﾟ∀ﾟ）やったー！」
このこんぴらさんへの立ち寄りがなかったら、おばあちゃんにも会えずにそのまま車に乗って帰っているところだったのです。私たちは無事宝物殿で「孫子の旗」、「諏訪神号旗」２組、それから「馬印旗」、日本最古の「日の丸の御旗」を見ることができました。「孫子の旗」「諏訪神号旗」は現存するもので9組中6組、その内2組がここにあります。この後向かった、甲州市の恵林寺（*5）の信玄公宝物館、甲府市の武田神社（*6）の宝物殿に1組ずつ見ることができました。
そして無事旗を見れた後、お土産屋のおばあちゃんは桃を一つお土産にくださいました。
「おばあちゃんがこんぴらさんかもしれないよ。」
私もそんな気がしています。旅行ってこんな偶然があるから面白いですよね。
＜参考＞
*1：金毘羅船々（こんぴらふねふね） 歌詞（うたのMIDI）
金毘羅船々（Youtube）
*2：裂石山雲峰寺（公式HP）
*3：崇徳天皇（NHK「平清盛」HP）
金刀比羅宮と崇徳天皇（金刀比羅宮 公式HP）
*4：武田氏（Wiki）
*5：恵林寺（公式HP）
*6：武田神社（公式HP）
＜紹介＞
Youいっちゃいなよ。
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