女の子は恵みが多いように


旦那さんは4月の入籍直後に夢を見ました。女の子の赤ちゃんの夢です。旦那さんと夫のじゅんさんと赤ちゃんで顔を寄せ合っている夢です。

その2ヶ月後、妊娠がわかって母子手帳をもらいに行くと役所で女の子の幽霊(?)を見ました(*1)。霊感のあるご友人に話すと、妊娠したとまだ伝えていないのに
「それって生まれてくる子どもが女の子ってメッセージじゃない?」
と何事もなく言われました。

旦那さんのお母様に電話で妊娠を報告をすると、
「私、○○ちゃん(旦那さんの名前)が女の子を育てているところしか想像できない!」
と言われました。

じゅんさんのお母様にも電話で妊娠を報告すると、
「私、女の子な気がするわー。」
と言われました。

先日帰省をすると、旦那さんのお父様からも、
「ありゃあ、女の子だな。」
と言われました。

そういえば、シックスセンスの持ち主の旦那さんの妹さんは、5年も前に
「ジャンパースカートはいた姪っ子とボール遊びする夢を見たんだけどー。
 お姉ちゃん、早く子ども産んでー!」
と、旦那さんに相手もいないのに要望を出していましたっけ(笑)



■男の子を待ち望む

ところが肝心の夫のじゅんさんは、旦那さんが妊娠を報告した瞬間から「ゆうたろう!」とお腹に語りかけました。

「それじゃ裕次郎のものまねタレントだ!」
「関係ない。ゆうたろう。」
「私、女の子の夢を見たよ。女の子だったらどうするの?」
「関係ない。ゆうたろう。」
「バカ言うな。」
「そんなはずないって。男の子しかないでしょー。」

そんな会話を幾度も繰り返しつつ、旦那さんたちはお腹の子を「ゆうたろう」と呼ぶことになりました。

そして、運命のエコー診断。

「これ股なんけれど、あー、玉見えませんね。女の子ですね~。」

ゆうたろう、女の子決定(笑)。

それにしても、確かに赤ちゃんの性別は二分の一の確率で当たりますが、どうして人は確信をもって答えることができるのでしょうか。私には不思議です。稲荷狐の私にはさっぱりですが、人間は、何か妊婦の雰囲気でわかるんですか? 赤ん坊の命の光が見えているんのでしょうか?


■存在がわからない

男の子を待望していたじゅんさんに申し訳ない気持ちで旦那さんは謝りました。

「ごめんね。気持ち切り替えてオスカルみたいに育てよう!」
「そういう問題じゃないんだよ。」

あれれ、男の子とキャッチボールしたり、サッカーボール蹴ったり、一緒にキャンプしたりしたかったんじゃなかったんですか? じゅんさんはご長男なので跡継ぎにしたいんじゃないんですか?

「女の子の存在がよくわからないんだよ~。」

じゅんさんの慌てぶりがなんだか切実です。

「ぶッ(噴出す)。存在って、妻の私が女でしょうが。
 私の子どもなら私のような性格だから、ざっくばらんだから多分問題ないよ。」
「そうじゃない、自分の血が半分混じっている女って、女って、
 よくわからん存在じゃない。自分の一部が女ってこと?」
「何、混乱しているの。初めて娘の父親になる人は誰もが通る道だよ。腹を括って。」

こんな会話をしてると、幾分かじゅんさんも落ち着きを取り戻してきて、「ゆうたろう」という名前の由来や、子どもに対する想いを訥々と話し始めました。


■女の子は恵みが多いように

男の子は、人に優しくあってほしい。自分で主体的に他人に手を差し伸べ、人の役に立つ人間になってほしい。苦労してでも、逞しく道を切り開いていってほしい。そういう思いでお腹の赤ちゃんを「“優”太郎」と呼んだようです。でも、女の子は違うと言うのです。恵みを一身に受けてほしい。それは自分の主体的な行動の結果ではなく、贈り物的に受けてほしい。だから女の子にはそのような名前を付けたいと言うではありませんか。

「女の子にはできるだけ苦労をさせたくないから。」

苦労しなくてもいいような贈り物的な恵み。旦那さんが真っ先に思い浮かべたのは、若さと美しさと愛嬌という「女の子魔法」が大きく関係しているものでした。しかし男性が作った社会の仕組みの中で評価されようとした時は、この魔法だけでは対応できなくなることは経験として知っています。男性と同じだけの実力、もしくは魔法と妬まれないように、それ以上に頑張る必要もあります。そして女性は年を取ると魔法の効力が弱まります。だからこそ女性は魔法が効かなくても人生を渡っていけるように知恵と技を身につけてほしい。旦那さんは瞬間的にじゅんさんの願いには賛同できませんでした。

しかしもっと考えると、女の子魔法や本人の努力も関係なく、実は人間というのは多くの恵みを世界から受けていることに気づいたのです。例えば四季の美しさは人間の営みとは関係ない恵みですし、旦那さんが妊婦だからといって電車で座席を譲ってもらえる他人の善意は努力に関係なく施されます。こういう日常の中で当たり前で見過ごされる恵みを恵みとして受け取る感性を持てば、自然と幸せな気持ちでいられるようになります。それであればじゅんさんの願いはわかります。

恵みを恵みとして受け取る力があるか。それは本人の感性にかかっている。謙虚な気持ちがあればこそ、恵みは多くやってくる。苦労の中にも恵みを見出せるのであれば、それは苦労ではなくなるのではないか。旦那さんとしては、それは女の子だけではなく男の子にも望む力ですが、じゅんさんにとっては男の子は幸せは勝ち取るものだというマッチョな思想が根底にあるのではないか。ある意味、そういう期待をかけられる男性の生き辛さを垣間見た気がしました。

「わかった。じゃあ名前は“めぐみ”ちゃんだね!」
「いや、後輩の彼女が“めぐみ”ちゃんだから、それはなし。」

なにーーー!?(笑) 今からみんなで女の子の名前を考えますよ。


<参考>
*1:幽霊を見た!?(旦那さんTwitter)


<紹介>
名づけにちょっと変り種の本を紹介。


これで漢字の成り立ちに興味を持ったら、ぜひ白川静さんの著書を!
漢字の意味が呪い(まじない)がかっていて怖い! 古代中国が鮮明に浮かび上がります。

コメント

  1. 旦那さん、じゅんさん
    おめでとうございます。(^ ^)/~

    しかも今月結婚式!
    さぞやお忙しいことと思います。

    うちの息子も仕事の都合で
    式当日は 「新郎 妊婦の入場です!」 でした。

    ドミノさんも新居探しに続き、
    ますます忙しくなりますね。

    どうぞ元気な赤ちゃんが生まれますように。

    返信削除
    返信
    1. nyankoharuさん、こんばんは。

      お祝いの言葉ありがとうございました。

      >式当日は 「新郎 妊婦の入場です!」 でした。
      その台詞いただきますw
      図らずもおめでた婚のような形になってしまいましたが、
      旦那さんは年も年ですので、とんとんと進んでしまったほうが
      結果的によかったのかなと思っています。

      おかげさまで、私も一緒にジェットコースターのようにめまぐるしい毎日を過ごしています。
      今まで生きてきた中で初めてです!忙しいけど楽しい!!

      削除

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