おもてなし結婚式


女の子の幼い頃の夢にお嫁さんとかお姫様になりたいというのがあると思うのですが、あれはドレスに憧れるからなんでしょうかね。旦那さんはそんな夢は毛頭描いたことはなく、結婚すら想像もしていたなかったようなので、当然のことながら結婚式でドレスを着るということも想像したことはありませんでした。

「結婚式に興味ないです。」という旦那さんに対し真剣に諭してくれたのは、大学時代に聴講生で仲良くなった30歳半ばの新婚女性でした。今でも交友があるのですが、その方に大学の講義の後のおしゃべりで言われたことをずーっと覚えていたのです。

「若い人って、結婚式について見世物になるのが嫌とか、
 お金かけるのが無駄って言うでしょ。そうじゃないの。
 お世話になった人へのお礼とけじめだから、絶対に義理を欠いちゃだめなの。
 その後のお互いの心構えが違うのよ。」

当時ですと、30過ぎだと今よりも結婚が遅いと思われると年齢でしたし、彼女自身も外資系の企業でバリバリと働いていて「ボーナスも外車買えちゃうくらいよ!」とおっしゃっていて、もともと結婚願望もそこまで強くなかった風に感じられたそうです。そんな彼女が現在は海外を飛び回る優秀な技術者の旦那さんと幸せそうにお暮らしになっている。だからこそ旦那さんは彼女の言葉から妙な説得力を感じ取り、その後の結婚式観が変わったということでした。

お世話になった人へのお礼とけじめとは、お世話になった人からさらに新たな祝福を受けること、新しい夫婦の門出にこの力があるとないとではやはり違うのです。盛大な結婚式をすればよりよいとか、結婚式をすれば離婚しないというような単純な話ではありません。祝福とは自分を本当に気にかけてくれる人から送られるよい気のことです。これが結婚生活の困難を乗り切ったり、払い退けるのに、そっと力添えをしてくれるのです。簡単に言うと生きやすくなるのです。

大学時代から結婚したら結婚式はやろうと決めていた旦那さんは、入籍が先、妊娠が先と、順序がさかさまになってしまいましたが、今回は約5ヶ月の準備と当日の総集編を簡単にまとめたいと思います。

1.会場選びはすんなりと
2.つかみはOK
3.過酷なスケジュール
4.頭を悩ませた衣裳
5.おもてなし結婚式


■1.会場選び

東京にはステキな会場がいくつもあるのですが、次の5つの条件で絞り込んでいきました。

・神前式希望のため和装がしっくりくること
・親族のみでこじんまり披露宴ができること
・田舎のご両親に「これぞ東京の式場!」という気分を味わってもらえること
・料理が美味しいこと
・できれば今まで参加した披露宴とは違った会場を体験したい

すでにご結婚されていたじゅんさんの妹さんにリサーチしますと、彼女は旦那さんが候補の一つに挙げていた八芳園で挙式を行ったようなのですが、次のように言われたことが決め手となりました。

「試食してご飯が美味しいから八芳園に決めたの。
 でも当日は花嫁だからあまり食べられなかったので心残り。」

ご飯が美味しい、それ一番重要! そして彼女の無念を晴らして差し上げましょうという気持ちになったようです。それですんなりと八芳園に決まりました。


■2.つかみはOK

Webで八芳園とコンタクトをして6月10日(日)17:00頃に初めて訪れました。打合せ会場の広さと打合せをしているカップルの多さにびっくり。この時点では契約をしていないため、最初の営業とも言うべき担当者の、暑苦しくないものの丁寧で熱心なアピールに心引かれます。この時点でゲスト数などの希望を伝えるとだいたいの見積もりを出してくれました。

「神前婚ということは和装ご希望ですね。どのくらいのご予算ですか?」
「現時点でゲスト8名、家族だけの予定なので60~70万が希望です。」

じゅんさんは若干ハッタリをかましたようですが、出てきた見積もり書は見事に70万円台です。こんな立派な式場でも70万円代でできるのだと旦那さんたちは感心するのですが、ここには和装の鬘も、かわいいブーケも、ささやかな演出も入っていない、お料理もテーブルセッティングも必要最小限の本当にシンプルなものであることはこの後になって知ります。

え、金額は結局どのくらいになったって? おそらくこれから結婚式準備をする人はそこが一番気になるところですよね。ええと、およそ2倍です。何が倍に跳ね上がる要因だったかはこの後で語りましょう。

この後、21:00も回ったというに披露宴の終わった夜の東京タワーの見える部屋で、長テーブルにテーブルクロスに花を飾ってテーブルセッティングをして披露宴会場を組み立てくれました。旦那さんたちはそこに通され、BGMの中新郎新婦の入場の雰囲気を味わい、別のカップルが実際に使ったであろう生い立ちから出会い、結婚までを追った感動映像を見せてもらう。旦那さん、涙腺が緩む。まんまと営業に乗せられた感じ(笑)。

このタイミングで会場の12月初旬に仮予約。その1週間後に旦那さんの妊娠がわかって、予約日時の変更をすることになるのですから、人生何が起こるかわかりませんね。


■3.過酷なスケジュール

八芳園で最初に接客してもらったアドバイザーの方には聞いていたんですよ。挙式までに次の打合せがありますと。

・2.5~3時間の打合せ 5回
・1.5~2時間の試着 3回
・お色直しをする場合、ヘアメイクリハーサルと写真前撮り 3時間1回
  
本番までの約4ヶ月で計9回。Σ(○□○;) なんじゃ、そりゃ!

せめて同じ日に固めて…なんて思っていたのが甘かった。担当者の都合、会場の都合、ドレス貸し出しの都合など、いろいろあるのですね。見事にバラバラになりました。実際にこれ以外に直前のドレスサイズ確認、産毛処理などのエステ、家での準備なども加わります。

また結婚式とは別に、夏の旅行、お盆の行事、旦那さんのご実家での親族お披露目を兼ねた食事会など…まさに目白押し。おまけに旦那さんが一番嫌いな季節の夏真っ盛り、さらに悪いことにつわりでゲロゲロ。披露宴自体ゲストが少なく、二次会をやらないだけまだ手間が少ないのが救いだと思って、歯を食いしばって準備をしていた旦那さんの姿が忘れられません。またじゅんさんも具合の悪い旦那さんを支えて、根気強く一緒に八芳園に通ってくれたことも旦那さんともども大変感謝しています。

こちらのリンクではカレンダー形式でスケジュールを書き出してありますので、これから挙式の準備をされる方はご参考になさってください。また経験のある方は「そうそう」「自分のほうが大変だったよね~」などネタにしてくださると嬉しいです。

結婚式準備スケジュール(Googleドキュメント)


■4.頭を悩ませた衣裳

花嫁さんの結婚式準備の醍醐味といえばやはり衣装選びではないでしょうか。八芳園で結婚式をやるやらないにしろ、旦那さんは当初から衣裳は和装のみ、黒引き袖と洋髪で済ます予定でした。

ところが結婚式をやると決まったとたん、旦那さんのお母様が電話口で「綿帽子、綿帽子!」といい始め、それからさらに「あなた、顔が濃いからドレス似合うわよ。」とプッシュされるようになりました。さすがの旦那さんも苦笑い。腹を括って親孝行の集大成と思って白無垢もドレスも着ようと結婚式に臨もうと決心したようです。この時点から旦那さんの苦悩が始まります。

一つは衣裳プラン変更によりで衣装代が跳ね上がったことです。ここには和装の鬘や刺繍襟、和装の下着、アクセサリーのレンタル代、ブーケ・ブートニア、男性のドレスシャツ、ブライダルインナーなどは含まれていません。またこのプラン内に収まらない衣装を選んだ場合はプラス料金がかかります。結局衣裳だけで当初式全体で希望していた予算近くいきましたかね。ですからお金の件についてはじゅんさんにひたすら頭を下げてました。あ、もちろん旦那さんは稼いでますから完全折半ですけどね。

そしてもう一つはウェディングドレスのイメージです。旦那さんは今まで着ることをまったく想像したことがなかったことから、自分に何が似合うのかわからなかったのです。いつもはやや前衛的なモード系を着ることが多いため、大人の女性らしいマーメードラインやアシメトリーなデザインを選ぼうかと思ったそうですが、そうは問屋が卸さない。結婚式当日は妊娠6ヶ月。腰周りが出やすいデザインがNGなのです。そうなると自然、プリンセスライン(*1)と呼ばれる甘いシルエットとなってしまい、もう頭を丸抱え。「そんなの着たくない!」 …仕方ないじゃないですか(笑)

そんな悩める旦那さんに救いの手を差し伸べてくれたのが、旦那さんの弟のお嫁さん、ゆきちゃんです。

「私、一人っ子だから姉妹に付き添ってドレス選びするというのを
 やってみたかったの!」

ゆきちゃんはとってもおしゃれさんです。自身の結婚パーティで着た衣装もマルタン・マルジェラ(*2)の白いワンピースに特注のヘッドドレスですから、どれくらいかっこいいかお分かりでしょうか。そして期待どおりの的確なアドバイスが飛びます。

「純白は子供っぽいよ。生成りとか少し色味にニュアンスあるほうがいいよ。」
「あー、背中のリボンいらない。やりすぎだもの。」
「もっと妊婦らしいやわらかさを全面に出したほうがいいかも。」

無事ウェディングドレス選択終了。さらにゆきちゃんは別の日に打ち合わせが行われるヘアメイクについてもアドバイスをくれました。

「ドレスが甘めだから、髪型とメイクは辛口のほうがいいかもね。」

おかげ様で当日は私が言うのもなんですが、旦那さんドレス姿がばっちり決まってましたよ。そしてゆきちゃんもにっこり笑ってOKを出してくれました。(後ろ姿ですが、旦那さんとじゅんさんです。)



■5.おもてなし結婚式

旦那さんたちはプランナーと綿密な打合せを行ったものの、どうしても消せなかった不安があるそうです。それは当日の花嫁の身のこなしとスケジュール進行です。こればっかりは当日になってみないとわからない。特にこの度司会を旦那さんの弟さんにお願いしたため、進行については素人、そして原稿は用意したもののリハーサルなしのぶっつけ本番、どのように当日のスタッフとタイミング連携をするのか不安だったのです。

プランナーの方には次のように言われていました。
「当日は介添えが花嫁さんの側にいて全てを取り仕切るので
 心配しないでください。」
「時間の調整についてはフロアキャプテンにお任せください。
 弟さんには適切に声をおかけします。」

果たして本当かと言うと、本当も本当、想像以上に手際がよかった!

介添えとは簡単に言うと花嫁のお世話係なのですが、ただのお世話係と侮るなかれ。神前式の作法を「ここで一礼いたします。」と横から声をかけてバックアップしてくれる心強い見方です。常に花嫁の手を引いて誘導してくれて、美しい歩き方、しぐさを教えてくれ、起立着席時の椅子の出し入れも行ってくれます。導線にもたつきがないのはこの方のおかげといっても過言ではないでしょう。旦那さんは安心して神前式、そして披露宴に臨めたそうです。

披露宴をアットホームな会にするためにぜひやりたかったのが新郎・新婦によるささやかなゲスト紹介とゲストから一言お祝いメッセージをいただくことです。しかし心配だったのは、旦那さんたちは感謝の気持ちを込めてボリュームのある原稿を用意していたのでタイムスケジュールどおりに終わるかどうかでした。実際に当日は嬉しいことにゲストの皆さん10名から個性溢れるメッセージをいただくことができたのですが、やはり時間が押してしまいました。司会の弟さんに迷惑がかからないかと心配をしたいたものの、お色直しで会場を抜ける旦那さんにキャプテンが「少し押してますが任せてください。」と言われて安堵したようです。

そしてもう一つやりたかったのが、お色直し中にゲストにケーキを可愛いシュガードールでデコレーションしてもらう余興です。旦那さんは直前にこれを思いつき、最後のスケジュール打ち合わせに提案してみたのですが、事前に食べられるケーキをオーダーしたためゲストがそこに飾るのは衛生上難しいと言われたのです。それをプランナーとパティシエの方が旦那さんのわがままを衛生的な条件付き聞いてくれて、ほとんどない打ち合わせの中でキャプテン対応をしてくれたのです。こちらがその写真です。じゅんさん希望で抹茶ケーキが森の中ような思わぬ効果となってよかったです。



他にも注文後初めて見るブーケやお色直しのヘアメイクが決まるかなど、様々な心配はあったもの、当日旦那さんたちが一つ一つに安心を覚えたことが、自分たちがゲストをおもてなししていたつもりで、自分たちも含めて八芳園スタッフにおもてなしされたんだろうなということ気付きました。

結婚式が終わった後、先出のゆきちゃんはメールで次のようなコメントをくれました。

「八芳園のサービス力にすごくカンシンしました。
 玄関口や、ロビーの誘導、エレベーターでのスタッフの対応、
 神前式・披露宴会場のスタッフの気遣い、トータル的に、徹底したサービスっぷり。
 企業努力をすごく感じたよ。」

本当に八芳園様様ですね。

定期預金を切り崩すか!?というところまで追い込まれたくらいお金がすってんてんになったじゅんさんと旦那さんでしたが、感謝の気持ちを一番表したかった両親、兄弟をはじめ、上京して家族のように接してくれた友人たちを心行くまでおもてなしができたことに本当によろこんでいました。心からやってよかったと思える式だったと締めくくりたいと思います。


<参考>
*1:プリンセスライン(ゼクシィ.net)
*2:マルタン・マルジェラ(公式HP)



<紹介>
八芳園の待合椅子の側にこの本が置いてあるのですが、
手に取ると涙がだーーーっと(笑)

コメント

  1. 旦那さん じゅんさん おめでとうございます。
    先日の息子の結婚式とダブらせて、
    とてもとても楽しく記事を拝見いたしました。

    旦那さんとじゅんさんの後姿も素敵です!!
    (正面はもっともっと素敵でしょうね)

    たしかに式場のプランナーやスタッフの皆さんの
    段取り、手際の良さは見事ですね。
    お陰様で 私達もぶっつけ本番で花婿の両親を
    演じることができました。(感謝)

    式当日は、ドミノさんも出る幕もなく、
    ゆっくりとゲスト気分に浸れたのではないでしょうか。

    どうぞ末永くお幸せに。
    無事に元気に出産できますよう、お祈りいたします。









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    1. nyankoharuさん、こんばんは。

      お祝いのお言葉ありがとうございます。

      そちらも今年息子さんがご結婚されたのですね。
      おめでとうございます!!!

      結婚式では親としての大任も果たされたとのこと。
      息子さんの晴れの舞台、全てが息子さんの
      「初めて」で「最後」を見守るような気持ちで
      緊張されていたのではないでしょうか。

      そんな状態の中で式場のスタッフの手際のよさは
      本当に助けられますよね。
      私も、旦那さんやじゅんさん、そして両家の親たちが、
      結婚式で自分たちの気持ちに集中している様子を見て、
      当日用意された全ての環境にありがたいと思いました。

      nyankoharuさんの家、息子さんのお嫁さんの家、
      ますますの発展を願い申し上げます。

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