冷静と情熱のあいだ-児童館編

すうちゃんと二人きりの生活の閉塞感でそろそろ旦那さんの精神がダメージを受けてきた頃。

「そうだ、児童館に行こう!」

産後一ヶ月訪問の助産師さんから区の児童館で0歳児クラスが開催されている話を聞いたことを旦那さんは思い出しました。ならば気分転換に出かけてみようと思い立つものの、一番近所に問い合わせるとすでに定員いっぱいとのこと。「出生率低下って嘘じゃないの?」と突っ込みながらも周辺の児童館を当たり、なんとか空きを見つけて参加できることになりました。

児童館での0歳児クラスは一週間に1回。ベビーマッサージをはじめ、指遊び、英語の歌遊びなど赤ちゃんへよい刺激を与えることができる…というのは建前で、あれは育児に煮詰まったお母さんたちの交流の場というのが本当の目的でしょうね。20分のふれあいタイムが終わったらスタッフの方が「はーい、あとは自由にこの場所使っていいですよ。お母さん方、思う存分交流してくださいね~」と言われますからねぇ。

実際に旦那さんの気分転換になったかと言うと、なったもなった。今まで感じたことない感情が押し寄せて退屈しない時間となっているようです。


■可愛いのは誰?

旦那さんは子ども好き。どんな悪ガキでも「かわいい~」とおばさん丸出しで寄っていきますが、赤ちゃんはなおのこと。児童館で勢ぞろいした赤ちゃんたちに囲まれて顔がへにゃへにゃです。

ところがいつもと違うのが自分の赤ちゃんのすうちゃんを抱いていることです。他の赤ちゃんを「かわいい~」と言うと何かすうちゃんに対し後ろめたい。かといって自分の家にいるようにすうちゃんを「かわええの~、なんてお前はかわええんじゃ!(山口弁)」とやっていると完全に親バカ。やはり公の場で自分の子を特別に目をかけるには人目が気になります。

さてどうするか。すうちゃんが旦那さんをじっと見ると萌え出る愛おしさをぐっと堪えてにっこり笑ってやりすごします。しかし愛が喉まで出掛かっている。そのテンションを周りの別の赤ちゃんにぶつけます。「ああああ、おばさんにおしゃべりしてくれるの? ありがとう~!」 その子のお母さん、「ど、どうも…」と若干引いてますよ。

しかし若いお母さんたちはこのあたりは実に割り切っているように見受けられます。親バカだろうが関係ありません。しっかり自分の子だけ目を向けます。行き過ぎると母子二人だけの世界で赤ちゃん語使いまくりのハイテンションの方もいらっしゃいます。「ハーイ、そうなんでちゅかあ~。」「○○ちゃん、よくできまちたねぇ!!!」

旦那さんは他人の子を褒めた後にそれを見るとすっと目が醒めた状態になって、自分の赤ちゃん、他人の赤ちゃんに対しどう振舞うのがいいんだろうかと考え込んでしまいます。一瞬の真空地帯。でもまた大勢の赤ちゃんの可愛さにすぐに元に戻ってしまうんですけどね。

私が思うに、自分の赤ちゃんが一番でいいんじゃないですか? 一番と思う気持ちをどんな風に表現をするかはお母さんの腕の見せ所。旦那さんもいい年なんですから大人の愛情表現を模索しましょうねーってことで。


■嫁いできたの?

もう一つ大きく考え方を改める出来事が児童館にはありました。他のお母さんたちとの出会いです。旦那さんの大きな思い込みとして「東京は地方出身者の集まりだ。両親、祖父母まで遡るとほとんど地方出身者だ!」というものがありました。20年近く東京にいてご友人や会社の同僚の方は東京のベッドタウン(千葉、埼玉、神奈川)か、地方出身者しかいなかったからです。

ところがこの0歳児クラス参加で仲良くなったお母さんたちは「わたくし、生まれも育ちも、葛飾柴又です。(寅さん)」「代々この土地で商売やっています。」という人が多い。そして彼女たちはこの街に住むことに対し捉え方が違うのです。

その証拠に旦那さんが地方出身者だと告げると「嫁いできたの?」と聞かれました。嫁ぐ? 夫のじゅんさんがその街出身前提?? 旦那さんとじゅんさんは会社に通いやすいからこの街を選んだだけのいわゆるよそ者です。彼女たちによると新参者夫婦が新婚生活スタートに自分たちの街を選ぶのは珍しいとのことでした。確かにここは新しいマンションなどがないエリアですものね。

そしてこの地元の方のすごいところは一緒に歩いているとそこかしこに知り合いがいることです。「あ、○○さーん、こんにちは!」と挨拶が飛び交います。確かにその街に数年いればお店の人と知り合いになるということは旦那さんでもありますが、道行く人が知り合いという状況は初めてです。こんなに人が多い東京で知り合い!? 

「これが東京の下町なんだ!」

旦那さんは爽やかな感動を覚えました。都会は近所付き合いがほとんどなく繋がりが希薄だと思っていたのが、その古い街には地元意識があってまるで田舎のような繋がりがありました。そして田舎と違うのが人の入れ替わりが多いからこそ「来るものは拒まず、去るものは追わず」の姿勢でドライなんでしょうね。旦那さんが地元のお母さんたちに気軽に仲間に入れてもらえたのはそのおかげでしょう。

気分は時代小説の長屋の住人、子育て中は江戸を満喫しよう! 旦那さんにとって、産休は人生のボーナスタイムになっているようですよ。


<紹介>


当時はやりましたね~。はやりすぎて今やお笑いパロディになるほど。
 (COWCOWさんの「冷静と情熱のあいだに割って入る」)
 これ自体は出来すぎた純愛物語です。Romanticが止まらない!!

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