「恐れ」をもって

最近「STAP細胞」の研究論文の疑惑でもちきりです。これでリケ女の星と騒がれた小保方晴子さん以外にも共同執筆者がいることですし(*1)、組織の中での研究のため上司の承認もあるでしょうし、どうもいろんな思惑がからんで(*2)小保方さんだけの責任ではなさそうに思えます。世紀の大発見が白が黒になるかもしれないのだから大騒ぎするのも当然ですが、小保方さんが可愛らしい女性ということに注目が集まったせいもあって、その反動がより酷くなってしまった、具体的にはプライベートや人間性にまで言及されてしまうのが可哀想に思いました。

そもそもSTAP細胞とは存在するのか? 現時点での詳しいことはこちらの記事を参考にしていただくとして(*3)、まったくないものをデータをでっちあげて発表することはないだろうから(と信じたい)、実験の過程でそれっぽいものは出現したのではないかと考えます。ただ科学雑誌「ネイチャー」の求める証拠を期日までに提出するのに再現が難しかった。論文発表を急がなければならない事情(よそを出し抜く、成果をだして予算を取る…など)があり、その都合に合わせて写真データを切り貼りしてしまった。そんなところでしょうか。科学者として、やはり掲載雑誌編集部の指摘どおり再現することに全力を注がなければならなかったのでしょう。実験は再現できなければ意味がないのですから。

それよりも小保方さんが「(画像の盗用・切り貼りを)やってはいけないという認識がなかった」(*4)という言葉が気になりました。まっとうな研究者の『世界』でそんな幼稚園児のような理由がまかりとおるはずもなく、その『世界』に所属する彼女だけが幼児のごとく天然な人であったためという説明は信じられません。もしその説明が通るのであれば男の嫉妬で血祭りにあげられようとしているのではないか。彼女が華々しくテレビ画面に出た時から「男の嫉妬につぶされませんように。」と心配したものですから…(*5)。おそらく彼女以外にも科学者の中には切羽詰まった事情でそういうことがあるのではないかと想像します。あくまでも想像ですよ! 論文の数は膨大でチェックする側もいちいち「この画像はあの論文のものだ」と目を光らせることができるとは思えませんもの。まっとうな科学者にとっては本当に迷惑千万な話でしょうけどね。おそらくこの件に関してはやはり男性の『世界』の秩序を守ろうとする圧力からうやむやになるのではないでしょうか。

…なんてことを旦那さんの仕事を通して考えていました。旦那さんの仕事も検証しなければならないことがあります。いつもの内容だからと日付を入れて通してしまいたくなる衝動と戦っているのですが、やはり旦那さんは根が真面目なせいか、やはり確認をしてしてしまいます。残業が込んでいて、締め切りが近いとしてもです。自分の見落としで糾弾されることが脳裏に浮かぶといてもたってもいられなくなるそうです。倫理観とは社会の目への恐れ、仲間はずれの恐れから生まれるものなのでしょう。恐れとは悪いことばかりでもないのです。特に生命を扱う現場ならなおさらこのような感覚は忘れてほしくないものです。


<参考>
*1:STAP細胞、論文取り下げ提案 共同研究の山梨大教授(日経新聞)
 「STAP細胞」小保方さんと並ぶキーパーソン 「笹井芳樹」副センター長とは?(弁護士ドットコム)
*2:論文騒動の裏に“理研の利権争い”? (東スポ)
*3:STAP細胞は実在するのか? 理研の調査報告から小保方論文を検証する(日経BPnet)
*4:STAP論文:「切り張りダメとは…」小保方さん謝罪 (毎日新聞)
*5:佐々淳行さんの著作に男の嫉妬の怖さは詳しいです。
  女性は生殺しにしますが、男性は本気でつぶしにかかります。
  紹介はこのあたりにしておこうかしら。たくさん著作があります。
  東大落城―安田講堂攻防七十二時間 (文春文庫)(Amazon)


<紹介>

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